事業継続計画(BCP)策定支援制度

【事例1】梶原産業株式会社様

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策定企業 事例紹介

梶原産業株式会社様 企業概要

企業名 梶原産業株式会社
従業員数 150人(平成25年10月現在)
事業内容 キッチン・ダイニング用品、バス・サニタリー用品などの家庭用品卸売業
沿革 1934(昭和9年)3月 梶原商店 創業
1960(昭和35年)12月 株式会社 梶原産業 設立
1970(昭和45年)5月 梶原産業株式会社 商号変更
1983(昭和58年)8月 下関営業所 開設
1994(平成6年)8月 友井営業所 開設
1998(平成10年)8月 友井営業所を柏原市に移転し、柏原営業所とする
2005(平成17年)3月 東京営業所 開設
2009(平成21年)4月 株式会社 電響社の完全子会社となり、電響社グループの一員としてスタートする
2010(平成22年)4月 関東物流センター 開設
2010(平成22年)10月 下関営業所を福岡市に移転し、福岡営業所とする
2012(平成24年)3月 九州物流センター 開設

梶原産業株式会社様 インタビュー

BCPの策定まで

梶原産業株式会社は、生活に密着した日用品雑貨を卸販売しています。特に、小回りのきく営業体制で、取引先に企画提案しながら幅広い日用品を扱っています。2009年に、家電品卸売業の株式会社電響社の完全子会社となった後は、親会社が有する家電品の販売ルートを活かし、関東や九州の物流センターを経由した販売先が全国に広がりつつあります。
近年は、小売業が卸売機能を担うケースが増え、同業他社との競争は厳しくなっています。価格やサービスによる差別化が困難なため、商品供給能力を高め、納品体系が確保されていることを販売先に十分にアピールすることが求められます。このため、商品の欠品や入荷遅れの問題は大きく、平常時非常時とも、98%以上の納品率を確保することが必須の課題になっています。
BCPの策定に至った背景は、グループ全体として納品率の確保を重要な課題と認識したことのほか、東日本大震災の発生でした。

BCPの策定

BCPの策定は、グループ全体で取り組もうとしていた時と同じくして、大阪府商工会連合会のBCP策定支援事業のことを知り、平成24年10月から半年かけて取り組みました。策定時は、管理部の管理職のほか、グループ企業からも数名が参画し、物流、管理、ITなどの各部門の社員が参画し、グループ全体でノウハウの共有を図っていきました。
策定では、本社の物流センターをモデルケースとして、主に、地震や水害が発生した際の物流機能の維持、システム関係や電気系統のダウンへの対応、社員の参集などについて検討を進めました。それぞれの検討では、具体的に責任者を選定し、全国の主要取引先に対し2~3日で復旧できるよう、代替輸送では他社やグループ会社など10社程度の協力を得る体制を検討し、電源の確保に向けたバッテリーの購入などについて検討しました。
今後は、商品の仕入先との具体的な交渉に向けた検討にも取り組む予定です。

BCP運用上の課題と定着に向けて

BCPを策定して約6か月経過しましたが、現在は、グループ全体で安否確認システムの整備に取り組んでいます。防災の日(9月1日)に安否確認テストを実施し、グループ全体350~360人のうち、1時間以内に回答があったのは250人、当日中に回答があったのは300人以上という結果でしたが、各個人の情報を登録する作業上の問題や安否確認時の回答方法が分からない点など、実践を通じて色々と課題があることも分かってきました。
BCPは一応策定されているものの、今後、外部の取引先企業との協力関係の構築や、実践を通じて策定した内容を見直すなどの取組が重要になると認識しています。
BCPの存在は、各事業所や各部門の責任者を通じて全社員に周知されていますが、さらに、BCPの具体的な内容を部門単位で社員に開示していく方針を有しており、個々の方針や対応策を実践する中で、BCPの実効性を高めていく計画です。直近では、25年10月から各拠点に備蓄品を配置する取組を進める計画です。
現在は、BCPの内容の充実を図る上で、グループ各社間でメールのやり取りをしており、この取組を通じて、業務システムの改変につながることも期待されると考えています。

BCPと企業経営

BCPを自然災害等の非常時に発動させるだけではなく、日々の企業経営で様々なトラブルに直面する中で、BCPの考え方を各部の事業に広く適用し、日々の経営に活かせると考えています。この考え方から、引き続き、策定したBCPの実効性を高める検討と実践を重ねていく方針です。

専門家からのコメント

 同社は、家庭用品の卸売業を営んでおり、顧客は平常時から納品率を重要視している傾向があることから、“被災時における納品率を如何に確保するか”が懸案事項でした。そこで“被災時の商品供給能力の向上による他社との差別化”を目的としてBCP策定の取組みをスタートさせ、様々な分析の結果、上記目的を達成するには、“労働力の確保”並びに“基幹システムの稼動”が最も重要であることが分かりました。“労働力の確保”については、安否確認手順の導入だけでなく、被災時には重要拠点に従業者を集約し、復旧活動を集中的に実施する体制の確立、グループ企業に対する応援要請などが対策の候補として挙がり、“基幹システムの稼働”については、自社施設からデータセンターへのシステム移設、バックアップについても同拠点内やデータセンターに依存するだけではなく、グループ会社等を含めた複数拠点でのバックアップ体制を構築することなどが対策として挙げられ、現在はこれらを踏まえた対策の導入を具体的に計画しておられます。

同社の今後の取り組みにおける課題は、事業継続能力の更なる向上を図る為に必要な従業者に対するBCP教育(導入した対策の周知や訓練の実施等)や、グループ企業全体(もしくはサプライチェーン全体)を巻き込んだBCPの取り組みを行っていくことです。

本支援制度の支援を終えましたが、引き続きBCPの取り組みを進めて頂き、更なるブラッシュアップが行われることを期待致します。

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